書影
久住四季『神様の次くらいに』2024年
「人の死なない謎解きミステリ集」というサブタイトル通りに安心して読める日常の謎をテーマにした短編集です。
各話に繋がりは特にありませんが、総じて青春が眩しいなあ……もっと減酸して〜!!あと、蜷川幸雄のノイズではないけれど、もっと人間の雑味みたいなものがもうひと味欲しい所……と読んでいると思ってしまうものでした。
しかし一転してラストは本格ミステリー!?(しかも青春していないだと?!)
最後には読んでいる途中で不足気味だったものを全部回収してくれる満足感のある一冊となりました。
09.03.2026 12:25
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私も読んだことありませんので何とも言えませんが、いろいろな方のエッセイに出てくるところでは『個人的な体験』に衝撃を受けたと語られている事が多いかなと思います。
講演の話からすると『万延元年のフットボール』はなかなか理解に難しそうですね。
09.03.2026 11:32
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カフェ山と海と太陽(モスバーガー)
どうにもこうにも左右から聞こえてくるおしゃべりの声が気になって、カフェは読書には向かないと思うのだけれど……ねえ?
09.03.2026 06:29
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一元描写論の考え方の元となったロシア・フォルマリズムの解釈
私たちが目の前にある現実をそのまま書くんじゃなくて、私たちに見えているものの奥にあるものを書く。見えているものを打ち壊して、そうじゃないものを引き出す。知っていることだけで世界が成り立っていると思わないで、そうでないものを想像する。そうやって新しい世界を作り出す事が文学の役割である。
09.03.2026 02:06
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大江健三郎『あいまいな日本の私』1994年
ノーベル文学賞授賞記念講演の他、9講演録になります。
幼少期に読んだ『ハックルベリー・フィンの冒険』『ニルス・ホーゲルソンの不思議な旅』の二冊が、自身の精神の型、生き方のかたちを与えていると述べています。この二冊の他にも井伏鱒二と息子の影響が伺えます。
大江は思想的に左翼と言われますが、これを見ると現在の考え方でより重視される、左右の軸に交錯する自由主義と権威主義のベクトルが90年代には萌芽していた事が伺えます。
総じてラディカルな講演ですが、文学論を主題にした「世界文学は日本文学たりうるか?」が大江の思想的集大成に思えて興味深かったです。
09.03.2026 02:01
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夏川草介『君を守ろうとする猫の話』2026年
シリーズ二作目は「自由に、じぶゆらしく」という言葉が主軸かと思います。
英語だとFreedomとLibertyでニュアンスと語源に違いがあるのですが、前者が干渉されない、後者が奴隷から解放されるという自由のニュアンスでしょうか。これを再解釈すると前者が欲望で、後者が権利を表すのかなあと思います。
両輪あっての自由ですが、バランスを欠いた現代社会ではマーケティングマイオピアに似た事象が引き起こされているのかなあ、と思ったものです。
あと、名作の語り継がれた所以が人間の普遍性だとすると、生きている間に読み切れない程の多様性があるなあ、と苦笑い。
07.03.2026 16:46
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夏川草介『本を守ろうとする猫の話』2022年
「ファンタジーであるのか、ライトノベルであるのか、風刺か、社会派か、青春小説か、読み方は何でもよい」と作者が書いていますが、私がまず思い浮かべたのは、本の巻末に付いている「発刊の辞」でした。ここに名文と誉れ高い角川が今や物的絶版をしている事を思うと何たる皮肉なのでしょうか。
次いでテグジュペリやエンデや宮沢賢治の形而上学的な童話です。本というテーマに絞る事で本を読むという行為が日常にある読者という存在にとっての共感性と、書籍という具象性を伴う事による分かりやすさにおいて、本書はアニメティックであり親近さが感じられました。
07.03.2026 10:58
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松崎有理『イヴの末裔たちの明日』2025年
未来人だと主張して有罪判決となった男が、刑務所内でタイムマシーンを製造して未来に帰ろうとする「未来への脱獄」
ビール予想の証明に取り憑かれた青年と、ビール暗号解読に人生を捧げた冒険者の手記が交錯する「ひとを惹きつけてやまないもの」
ケインズが提唱した技術的失業の末期世界での職業と幸福を描く「イヴの末裔たちの明日」
文明の荒廃した未来世界での妖怪討伐譚「まごうことなき」
地球が滅びかけた時に、高齢男性ばかりの宇宙ステーションに愛人として連れてこられた大学生の決死の脱出「方舟の座席」
タイプも筆致も異なる五篇。目の付け所に目を見張るものがあります。
07.03.2026 01:30
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立花隆『東大生と語り尽くした6時間 立花隆の最終講義』2021年
2010年6月、文藝春秋にてゼミ生に向けて行った講義録になります。書籍としては『二十歳の君へ 16のインタビューと立花隆の特別講義』(2011年)から「第二章 二十歳、頭をひねる《立花隆の特別講義》」を抜き出して再編集したものです。
高校生の時に読んだ「東大講義」よりもっと圧縮された濃い内容だったと思います。とは言え、知の巨人の語る世界は広大であって、いやはや知らない事は多岐に渡ります。ではあるけれども、それが一本の糸で繋がる……ここからが知の旅の旅立ち、スタート地点に過ぎないという事になるわけですがね。
02.03.2026 09:56
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カントの考えを参考とするならば、知性を重視すると「退行」と言えるのだけれど、感情を重視する立場の人間からすらと「そんなことはどうでもいい」となるし、行動を重視するならば共感または軽蔑のどちらかに極振りされる事になるのであろうことは想像に難くない事です。これはアーキタイプとしての知情意のどれが正しいというところが論点ではないのです。
回帰思考とは客観視の上でアナライズを挟んで決定していく新しい原理の上で社会を再構築してきた現代文明そのものの考え方を前史回帰させる事であって、その前史が失敗の繰り返しであった事が問題であり論点となるわけです。
28.02.2026 18:15
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青木理『日本会議の正体』2016年
日本最大の政治結社についてルポルタージュです。その正体について筆者と違う表現として「最古参の惨敗兵」というワードが私の脳裏に思い浮かびました。
主張は皇室の尊崇、憲法改正、国防の充実、愛国教育、伝統的家族感への回帰の五つに集約されます。これが「運動」から「価値と方向性の提案」に変化して現在に至ります。10年前の島薗進と筆者の対話が現在を的確に表している事に震えます。
これは極座標中心思考による短期的利益の極大化によって失敗を重ねてきた人類は、客観的に世界を把握できる新しい座標系による長期的利益獲得へと移行してきたのですが、退行したと言える現象です。
28.02.2026 17:31
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池内紀訳『カフカ寓話集』1998年
訳者によると、岩波文庫で二冊目となるカフカ短編集のタイトルをどうしたものかと頭を捻った結果こうなっただけみたいです。
それにしてもカフカは解らないですね。教養の壁が突如眼前にそびえ立つ難解さと独特の感受性を受容しかねる難解さの両方があります。
ただ、解らないものの文章の良さはあると言った感じでしょうか?一、二ページの掌編がより好ましく思えます。「使者」なんかなんだかいい感じですね。
その理不尽さ、不条理さという作風からは「煉獄を知っているか?天国と地獄の間、つまりこの世の事だ」という科白が想起されます。
28.02.2026 16:50
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雨月物語も読んでみたいと思っていたのですが、これ良さそうですね。
28.02.2026 10:06
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そうなんですよ。その厚みに読むのが億劫になって後回しになってしまっているのです。
27.02.2026 13:13
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東京都千代田区永田町2丁目13-10で起きた事……
二・二六事件の反乱部隊本拠地となる/東京大空襲で被災した上でB29が墜落して建物が全焼/力道山刺殺される/ホテルニュージャパン火災事故/千代田生命が超高層ビル計画を進めるも経営破綻/プルデンシャル本社ビルになるも盛大なやらかしを起こす
……ゲニウス・ロキって本当にあるんだな。
27.02.2026 13:06
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ロボットというと機械工学的なイメージを思い浮かべてしますが、ここでは錬金術のホムンクルス、伝承としてのゴーレムが下敷きとなってアンドロイドの方がイメージに近いと思います。そのためなのか、読んでいる途中途中でエヴァンゲリオンが想起されたのですが、かのような葛藤の話ではないのです。むしろ至極単純化されたストーリーラインではあります。
しかし、それでも展開から目を離せないのは、産業革命によってアンカリングが動かされた人間の価値とは何なのか?を問い直す事が主題だからなのだと思います。
結局、その結末はシン・エヴァンゲリオン同様に希望なのか?という腑に落ちなさは残ったものでしたが……。
27.02.2026 10:45
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カレル・チャペック/阿部賢一 訳『ロボット RUR』2020年
ロボットという言葉と概念を世界に膾炙させた戯曲です。本書は発表100年の記念新訳版で、作者本人が寄稿した当時の雑誌記事が付録されています。
原題の「Rossum's Universal Robots」の3つの単語の意味として、チェコ語のrozum(理性、知性)、robota(賦役)汎用性と非民族性を表す英語が切り口として作品を物語っているものと思います。
作者曰く、これは部分的真実についての喜劇だそうで、形而上学的なものに対する精神主義者の謙虚さを示したかったようです。
そんな主張は差し置いたとしても面白い作品でした。
27.02.2026 10:33
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物質的には新書とは思えない厚みがあります。
27.02.2026 09:54
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NHK BSで昨日放送された「フロンティア 共感を疑え なぜ人は争うのか?」を観ました。
共感のパラドックスとは、内集団に共感や愛情を抱く反面で外集団に恐怖や敵愾心を感じる心理現象だそうです。
東京大学の亀田達也教授は1精々百人程度の集団に対応してきた扁桃体がもつ機能が、テクノロジーによって今や何億人規模の世界で機能する事に適応できなくなっているのではないか?と構造としての機能不全を説いていた事が私には印象的でした。
共感機能が社会的空気を変貌させてしまう現象は言わば群衆化。これに対するアプローチへの取組を番組で紹介しています。
www.web.nhk/tv/an/fronti...
26.02.2026 10:55
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岩根圀和『贋作ドン・キホーテ』1997年
セルバンテスの『ドン・キホーテ』後篇執筆中にアベリャネーダなる作者による贋作が現れました。作者は偽名、査定証も偽造、印刷所は実在するけれど印刷記録なしと謎の代物なのですが、文学作品として現在まで残っていたりします。著者はこの贋作の日本語版翻訳者になります。真作を精読のうえで贋作との詳細比較と書評、真贋の遍歴の旅についてと贋作の作者と疑わしき人物についての解説が内容となります。
解説されると原作者と翻訳者と編集者の三重構造を作中に絡み合わせて入れ込んでいる作品構造が奇抜な面白さになっていると思います。パロディ作品でしか通用しなさそうな手ですが。
23.02.2026 14:58
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笠井亮平『『RRR』で知るインド近代史』2024年
企画意図としては、大ヒット映画を入口に当時のインドで起こっていた反植民地闘争の実態に迫ろうというものです。私はその映画を観ていないのですけどね。観ていなくても十分に面白い語り口です。
ただそれだけではなく、映画で描かれなかった側面と描かれた時代の前後についても同時に切り込んでいる為、インド近代史の概要が掴める良書に思いました。インド独立闘争は同時にイギリス近代史でもあり日本近代史でもある事がよく解りました。
ヒンドゥーナショナリズムと印パ対立関係を鑑みると、インドは世界の縮図と言われる所以にも頷けます。
23.02.2026 06:44
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サキ/中村能三 訳『サキ短編集』昭和33年
「薬になれなきゃ毒になれ。でなきゃあんたはただの水だ」という科白が脳裏に浮かび上がりました。「ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠したブラックユーモア」とありますが、毒を含むと言うよりも毒そのものじゃないか?と思わずにはいられません。
オー・ヘンリーと並ぶ短編の名手と称されますが、構成が似ている「宵闇」を読むと対比が一層浮き出て感じられます。作風を藤子不二雄で例えると、藤本先生と我孫子先生に見立てられそうです。
私的には「平和的玩具」「ピザンチン風オムレツ」「休養」なんぞが傑作だなあと思ったものでした。
22.02.2026 12:35
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竹内薫(解説)+竹内さなみ(物語)『シュレディンガーの哲学する猫』2008年 #猫の日
『誰にでもわかる哲学本』を執筆中の作家もとに現れた、哲学者の言葉を語る不思議な猫とでかける知への冒険ファンタジー。小説パートと解説パートに分かれていて、小学生向け教育商材のような風体です。
異色のラインナップ(褒め言葉)で、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン、J.P.サルトル、フリードリッヒ・ニーチェ、ソクラテス、レイチェル・カーソン、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ、ポール・ファイヤアーベント、廣松渉、エドムント・フッサール、マルティン・ハイデガー、小林秀雄、大森荘蔵という面々を取り上げています。
22.02.2026 07:57
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ARCHIVE | NTT Group BIBLIOTHECA -THE WEEKEND LIBRARY- : J-WAVE 81.3 FM RADIO
今週のビブリオシカの参考図書はパウロ・サバジェ『どうにかする めちゃくちゃな状況で「圧倒的な結果」を出している人と組織の思考法』でした。
「回避策」とは困難な問題に直面した際に、回避したり迂回したりすることで問題を「どうにかする」方法を指します。著者は既存のシステムやルールの隙間をうまくハックすることで、複雑な社会問題さえも解決できると説いています。
著者は「回避術」は「便乗」「抜け穴」「誘導路」「次善策」の4つを挙げて説明しています。
本当に真正面から衝突する力の理論では泥沼化して問題解決できないんですよね。
www.j-wave.co.jp/original/bib...
22.02.2026 07:38
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『源氏物語』を読み、『ユリシーズ』に苦しみ、ニーチェにおののき、アインシュタインを尊敬し、UFOや宇宙人の話を喜んで聞き、星占いに興じ、ラヴェルを聴き、カラオケでビートルズを歌う、そういうものに私はなりたい。
22.02.2026 05:51
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以下は京極夏彦の図書館に関する雑文なのですが、嗜癖が激賞の域に達した様には感動すら覚えました。
本を買うにはお金がかかるのだ。幾価でもかかるのだ。買ったら買ったで保管場所がいるのだ。書架はみるみる埋まるものなのだ。そして買って持っているだけでは意味がないのだ。ちゃんと読めないのであれば、本は無価値な紙束である。整理整頓をし、いつでも読めるようにしたおくには手間がかかるのだ。際限なくかかるのだ。(略)一番の難敵は、戦争である。ある時は予算削減、ある時は思想言論統制、ある時は物理的と、常に戦争は図書館の前に立ち塞がる。悲嘆に暮れるのは図書館職員だけではない。読者である。本を欲する者である。
21.02.2026 09:03
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大津栄一郎訳『オー・ヘンリー傑作選』1979年
もはや古典の域としてアルファ世代とてそうだと確信はできませんが、賢者の贈りもの、古パン、最後の一葉あたりは誰もが何処かで聞いた憶えのある有名作なのだと思います。他作でも「改心」「ハーグレイヴズの一人二役」「千ドル」なぞは傑作だなあと思ったものです。
総じての作風としては古き良き時代を形容したロマンチシズムだと言ってしまってよいのだと思います。その根底にあるものはリアリズムとなるわけなのですが、どういう理由なのか、大どんでん返しの先にある奇抜なオチにはシュールレアリズムのような不条理と呼ばれるものが潜んでいるように思えてなりません。
21.02.2026 07:30
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書影のイラスト「イ族の女性」はなんだか見覚えがある感がすごい……と思ったらC99の松風工房「祝祭」少数民族ミャオ族などその周辺の地域の民族イメージイラスト集からの加筆修正でした。
x.com/hosoimieko/s...
19.02.2026 14:43
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安田峰俊『民族がわかれば中国がわかる』2025年
中国共産党の民族識別工作によって中華人民共和国は56民族から構成されています。それらの上位概念としての中華民族があり、習近平は「中華民族の偉大なる復興」を掲げているわけです。
本書では特徴的な7つの少数民族の歴史的経緯と比較として高木桂蔵『客家 中国の内なる異邦人』の論評、漢族と中華民族を論考しています。
「民族」は英語翻訳からの和製漢語なのですが、①nation②ethnic group③tribeを挙げています。中国は積極的に①として使用し日本は②であろうという見解です。でも、民衆目線では共に③であるように思えます。
19.02.2026 14:35
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電脳マヴォ:羽生生純 ファミ通のアレ(仮題) デジタルリマスター版
編集家・竹熊健太郎が漫画界発展を願い、新人発掘と電子メディアの可能性を実験するために立ちあげた無料オンライン・コミック・マガジン。
ファミ通に『ドキばぐ』が連載される前時代、まだファミコン通信だった頃に『ファミ通のアレ(仮題)』というぶっ飛んだマンガが連載されていたのですが、なんか全話デジタルリマスター版で無料公開されていました。時間溶けるわあ……
mavo.takekuma.jp/title.php?ti...
18.02.2026 14:23
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